近年のIoT、AI(人工知能)、ビッグデータなどの先進技術の急速な進展は社会のあらゆる領
域にこれまでにない可能性をもたらしつつある。その力を適切に用いることによって我が
国が直面する様々の課題を解決し、豊かな未来社会を実現する展望を切り開くことが強く
期待されている。また企業を取り巻く経営環境も大きく変わりつつある。これまでのよう
に単品の製品性能やサービスの向上を追求するだけでは企業が競争力を保つことが出来な
い時代、製品やサービスが相互に連携して新たな付加価値を生み出していくことが求めら
れる時代になった。
このようなディジタルトランスフォーメーションの時代で重要な役割を演じているのは
「システム」である。「システム」はものともの、ものと人、技術と社会を結びつけると
き必ず課題として立ち現れてくる。そしてその多くは沢山の複雑な要素や組織をうまく統
合して多様な機能を発揮し、多くの関係者を満足させ、さらに時代の変化とともに進化す
る高度なシステムであることが要求される。新しいビジネスモデルの登場にはその背後に
は必ず新しい高度なシステムの構築があり、その意味ではディジタルトランスフォーメー
ションを駆動しているのは、システムを構想し構築し運用するシステム化の能力であると
いってよい。
残念ながら我が国はこの能力が欧米に比べて未成熟である。要素技術に強い日本の技術
文化とそれが大きな利益をもたらした過去の成功体験、さらに社会全般を支配している縦
割り志向が障害となって、要素からシステムへ付加価値のシフトに追いついていないのが
現状である。我々は以下の目標を達成することを目指して、産業界主導の「システムイノ
ベーションセンター」を創設する。
【1】要素技術に強い我が国の強みを生かしつつ、製造・サービス・経営全般における生産
性向上と
イノベーションをシステム化に軸足を置いて実現し、システムイノベーショ
ンで国際的な競争優位に立つ。
【2】超スマート社会実現のための施策をシステムの観点から検討し、必要な施策の提言を
行うとともに、
その柱となる具体的な社会システムおよびそれらの共通基盤の構築を
企業、業種、専門を超えた専門家集団の共同作業として企画・実施する。
【3】産学の緊密な連携のもとにシステム思考・システム構築・システム運用に習熟した新
しいタイプの人材を経営・技術・サービスの各レベル、各分野で育成する。それを通
して会員企業におけるシステム化のリテラシーの向上を目指す。
【4】産・官・学にわたってシステム化に関心のある企業、団体、組織の人的、技術的なネ
ットワークを作り、個社で実現困難な新市場創成の機会を提供するとともに、それを
通じて新しい「システムビジネス」の創出を支援する。
【5】海外のシステム開発を目指す企業や研究機関と緊密な連携を確立し、システムイベー
ションの国際的な動向に参画する。
【6】システムを取り巻く社会経済および技術の動向を継続的に俯瞰し、システムイノベー
ションに関わる新たな課題に取組む。
関係各位のご賛同とご支援を切にお願いする次第である。なおその詳細は、「事業計画」
をご参照頂きたい。
設立趣意書PDFはこちら
五十音順(所属・役職は設立趣意書発行時(2019年1月)のものです。)
指名 | 所属 | 役職 | 備考 | |
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産業界 | 浦川 伸一 | 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 | 取締役常務執行役員 | |
亀澤 宏規 | 株式会社三菱UFJ銀行 | 取締役専務執行役員 | ||
木谷 強 | 株式会社NTTデータ | 取締役常務執行役員 CTO | ||
ギル・プラット | トヨタリサーチインスティテュート | CEO (兼)トヨタ自動車(株)フェロー | ||
齊藤 裕 | ファナック株式会社 | 副社長執行役員 | ||
島田 太郎 | 株式会社 東芝 | コーポレートデジタル事業責任者 | ||
谷崎 勝教 | 株式会社 三井住友銀行 | 取締役兼専務執行役員 | ||
服部 正太 | 株式会社構造計画研究所 | 代表取締役社長 | ||
人見 光夫 | マツダ株式会社 | 常務執行役員・シニア技術開発フェロー | ||
藤田 正弘 | 三菱電機株式会社 | 常務執行役 開発本部長 | ||
古田 英範 | 富士通株式会社 | 執行役員専務 CTO/CIO | ||
村田 佳生 | 株式会社野村総合研究所 | 常務執行役員 | ||
森 敬一 | KDDI株式会社 | 取締役執行役員常務 | ||
山田 大介 | 株式会社みずほフィナンシャルグループ | 専務執行役員 | ||
学界 | 木村 英紀 | 早稲田大学理工学術院 | 招聘研究教授 | |
久間 和生 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 理事長 | ||
吉村 忍 | 東京大学工学系研究科 | 教授・産学連携担当副学長 |
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