4.講演概要:
本講演では、圏論の基本的事項の紹介の後、INCOSEがSysML、UAFにより推進しているMBSEについてと、これを圏論で扱う動きの概要、ならびに、講演者が現在取り組んでいるシステムアーキテクチャをolog という圏で記述するいわゆるOBSE(Ontology Based Systems Engineering)への展開について説明する。
通常の数学理論は集合論をもとに展開されている。集合論は、集合とその要素に対する所属関係から構築され、集合A,B 間の写像fは集合Aの各要素aに対して、集合Bの要素f(a)を対応させる規則、すなわち、積集合A×Bの部分集合とみなすことで定義される。一方、圏論では、圏Cを、写像の概念を一般化・抽象化することで、対象(object)、射(morphism)として定義する。
圏論を1940年代に創始したアイレンベルグとマクレーンは、ホモロジー代数(代数的位相幾何学)を公理的に展開する過程で、異なる数学的体系の間の自然変換(naturaltransformation)を理解するために関手(functor)の定義が必要となりそのために圏を導入した。数学の様々な分野から圏をつくりだして、異なった理論の間に平行して存在する手続きを統一的に理解することができるようになり、さらにそうして構成された圏同士の構造を保存する対応関係として関手が定義され、さらにこの関手の間の射として自然変換が定義される。これによって、圏から圏への関手を対象として、自然変換を射とすることで関手の圏として抽象化される。
グロタンディークによる代数幾何学への展開とトポスの導入は、情報科学への展開など、様々な分野に適用されている。システム論もその例外ではなく、MITを中心として様々に理論展開されるばかりでなく、INCOSEでもMBSEとして、様々のシステムの実装を伴いつつ推進されているが、圏論で扱う動きも活発化している。